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バレンタインデー・・・それはお菓子業者の策略によってチョコレートまみれになる日・・・。
「なーなー、俺チョコ貰えるかなー!?」
弟よ・・・バレンタインなんてリア充どものくっだらないやり取りの日だぞ。
「兄ちゃんもチョコ貰えるといいな!」
「は?バレンタイン?なにそれ美味しいの?」
「なに言ってんだよ!バレンタインは女の子がチョコくれる日だぞ!?」
「テンションたけーなお前・・・そんなにほしいのか?義理チョコ」
「本命もらえるかもしんないじゃん!」
「ムリムリ、貰えないって。だいたい、本命チョコなんて市販の板チョコ溶かして固めたもんだからくっそ不味いぞ?」
「全国の乙女を敵に回すよ、その発言・・・」
「知ったことか。弟よ、悪いことは言わない・・・義理チョコ貰えるだけラッキーだと思っとけ」
「えー・・・」
不服そうだな弟よ。だがな、現実はミルクチョコレートのように甘くはないのだよ。
「くだらないことばっか言ってると遅刻するぞー」
「それは兄ちゃんも一緒じゃんかー!」
「残念だったな。俺はすでに歩き始めているのだよ!」
「あ!いつの間に!待てよ~!」
そう・・・バレンタインデーなんて俺には関係ないのだ。どうせ貰えるあてがあるわけでもないしな。
学校に来ると、野郎どもがソワソワと落ち着きなく下駄箱とにらめっこしていた。
「おはよー・・・何やってんだお前ら」
「今日がなんの日か忘れたか同士よ!今日は待ちに待ったバレンタインデーだぞ!」
「今年は絶対に俺が勝つ!」
「非モテ同盟の同士よ・・・無駄な期待は持たない方が身のためだぞ・・・」
どうせ下駄箱にチョコレートなんて入ってるわけないだろう。てか、下駄箱チョコレートはどうかと思う。だって・・・汚いじゃん?下駄箱の中なんてさ・・・。
「おはよう、佐藤」
「おーおー、これはこれはモテる男の佐野君ではないか」
「そんなにモテないよ」
とかなんとか言いながら下駄箱を開ける佐野。ちなみに佐野はガキの頃からの幼馴染みである。
「おっと・・・」
今年もマンガでしかあり得ないと思っていた光景が再現されている。下駄箱を開けた瞬間チョコレートの雪崩。よくもまあこれだけのチョコレートがこんな狭い下駄箱に詰め仕込まれていたものだ。
「今年も大人気ですなー佐野君は」
「まいったな・・・こんなに持ち帰れないよ」
「こっち見んなよ。俺は知らんぞ」
助けを求められても困る。
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