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「ま、せいぜいお返しに悩むんだな」
そう言いながら俺も下駄箱を開ける。すると、毎年恒例の事が起こった。
「・・・・・・またか」
俺の下駄箱からも大量のチョコレートが出てきた。雪崩のように。
「おい佐野、お前宛のチョコレート、また俺の下駄箱に入ってたぞ」
「あー・・・なんか、ごめん」
「謝るな余計腹が立つ」
佐野の下駄箱に入りきらなかったチョコレートはすべて俺の下駄箱に詰め仕込まれる。幼馴染みであるがゆえの悲劇だ。
「佐野~・・・これも持って帰るんだよな~?」
「こんなに貰っても困るんだけどな・・・」
「お前宛のチョコレートを俺が持って帰えると女子から睨まれんだよ・・・毎年それで俺が死にかけてるのを忘れたとは言わせんぞ」
佐野宛のチョコレートを持ち帰ると女子たちの逆鱗に触れるのだ。殺気立った女子たちに囲まれてグチグチネチネチ言われるのが毎年恒例だった。今年こそはと思うのに、結局丸め込まれてお持ち帰り決定、そして女子たちの殺気に晒されるわけだ。
「今年こそは持って帰らんからな。絶対に」
「そんなに念を押さなくても今年こそは全部持って帰るよ」
「嘘だ・・・絶対嘘だ・・・」
「信用ないなあ」
困ったように笑っているがな、佐野よ・・・女子からの視線に気づいた方がいいぞ。めっさ見てるから。
「おーい同士よ!そろそろ教室行かないと遅刻するぞー!」
「おっといかんいかん。じゃあな佐野」
「せめて教室に持っていくの手伝ってよ」
「大変なのはわかる。だが断る!さらば佐野!」
非モテ同盟の同士と共に、佐野を置き去りにして教室へ向かった。
で、教室に着いたのだが・・・。
「おーおー・・・こりゃまた今年もスゲーな・・・」
佐野の席には山積みのチョコレート。そして机の中もぎっしり詰まっている。そして当然のごとく俺の机も似たような状況だった。
「俺の下駄箱と机を便利な仮置き場にするでないよ女子たち・・・」
「うっさいチビガリ!佐野君の下駄箱も机もいっぱいなんだから別にいいでしょ!」
「そーよ!だいたい、佐野君の幼馴染みってだけでも腹が立つってのに!」
「・・・・・・相変わらずお嬢様方は辛辣なようで・・・」
別にチビでもガリガリでもないのになぜチビガリなのか・・・。身長も体型も平均だというのに。
「同士よ・・・俺にはわかるぞ・・・女子の言葉って言刃だよな・・・」
「誰が上手いこと言えと言ったよ・・・」
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