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ナカダ氏は言った。
「編集者を目指す者ならば、
誰もが文芸小説に携わりたがる。
文豪の卵たちと共に、
珠玉の作品を作り上げることは、
なんと誇らしいことだろうか。
ところが官能小説ときたら、どうだ?
誰にも誇れないんだぞ。
『性』を扱うことは、本当にリスキーで。
皆んながそれを欲し、
興味を持っていると分かっていながらも
隠さなきゃいけない。
なあ、おかしな話だろ?
その行為の目的は本来、
子づくりなんだよな。
神様はそこへ誘導させるために、
『快楽』を用意したはずなんだ。
それが本末転倒となって、
皆んな『快楽』に夢中なワケで。
まあ、そこを考え出すと
キリが無いんだけど。
…でさ、俺、
文芸小説から官能小説の編集に異動して、
正直ヘコんだんだよ。
もっと崇高な作品に携わりたいと
思ってたからさ。
そんなとき前任の岡さんが薦めてくれた
官能小説を数冊読んで。
まあ、どれもそこそこ楽しめた。
AV見てるより、距離が近いというか、
頭の中でいろいろ想像できるからな。
…でさ、
最初はバカにしてたんだよ、お前のこと。
話題づくりで踊らされてる、
お飾り作家だって。
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