563人が本棚に入れています
本棚に追加
「セックスに決まってるだろ?
お前、週何回ペースでやってんの?」
こ、この辱めをどうしてくれようか。
気のせいかマスターもアルバイターも、
私の答えに耳を澄ましているようだ。
だから、蚊の鳴くような声で私は言った。
「…じょです」
「はあん?!聞こえねえっつうの」
「処女なのです、私」
「……」
デリケートな問題だから、
これでナカダ氏も気を遣うだろう。
次の瞬間、
そんな甘い期待をした自分を呪った。
「エロ小説書いておいて、
しょ、処女~~ッ!!
ぶっはは、ウケル~~ッ!!」
ぐすん。
この店、もう二度と来れないな。
結構、穴場で気に入ってたのに。
涙目で私は訴える。
「い、いろいろ家庭の事情があるんです。
そ、そんなことよりも打ち合せを進めて、
とっとと帰りたいんですけど」
しかし、彼はその言葉を華麗にスルー。
私の声など耳に入らないようで、
ひたすらブツブツ何かを呟いている。
「…そっか、未経験だからか。
だから要所要所が甘いんだな。
そっか、そっか」
ガタンと席を立ったかと思うと、
左手に伝票、右手で私の腕を掴む。
「え、な、ななななに何ですか?!」
「教えてやる」
は?
はははは???
最初のコメントを投稿しよう!