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まあ、ご指導が無いなら無いで、
別に構いませんけどね。
今まで通り、真っ当に生きるだけですわ。
…というワケで、
ヒマな私は彼を観察することにした。
これまでに分かったこと。
ナカダ氏は意外と真面目だ。
というか、どうやら仕事の鬼らしい。
岡さんの担当作家を全部引き継いだので、
かなりの仕事量を抱えているはずだが、
新人発掘の対応も受持ち、
巨匠たちのフォローも欠かさない。
驚いたのは、担当作家の作品を
すべて読破していたこと。
竜ケ崎なぞ100冊近く出しているのに、
それを制覇するなんてナカダ氏スゴ過ぎ。
ちなみに礼儀正しい私が何故、
先輩作家を呼び捨てにするかと言うと、
竜ケ崎友朗が岡さんにセクハラし、
退職に追い詰めた張本人だからで。
それを未だに憤っているのである。
…コトリ。
自宅の来客用テーブルにコーヒーを置く。
担当がナカダ氏に代わってから、
初めて提出したプロット。
人気作の続編だからと、
私の方で大雑把に組み立て、
それを今、確認して貰っているのだが。
明らかにその表情は不満そうで、
溜め息を吐きながらパソコンを閉じ、
冷たい目で私を見ながら、彼は言う。
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