ぎりチョコ

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紗理奈は自分より遥かに長い髪の毛をカーペットから拾い上げ、パラパラと落としてはまた拾い上げを繰り返していた。 「い、いやそれは……」 「そのチョコは‘裏ぎり’を確かめる本命ぎりチョコ」 「まさかさっきの話みたいに毒が入ってるって訳じゃ……」 康太は愛想笑いを浮かべたが、 「大丈夫、本物の愛情を持っているなら死なないから」 紗理奈に笑顔はなかった。 「死なないって…… そんな物食えるか!」 康太はチョコレートを投げ捨て、紗理奈はそれを丁寧に拾い上げていく。 「さっきの話には続きがあってね。 本物の愛情を持ってた幼い娘は……」 「ちょっ、ちょっと待て! その女の子の名前は……」 拾い上げたチョコレートを康太の口元へと持っていき、 「……紗理奈」 愛情を確かめる為に押し込んだ。
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