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ブランケットの端をぐいぐいと引っ張られ、慌てて左を向くと、すぐ横に小さな小さな女の子が座っていた。
白いレースのワンピース、雪のような白い肌に、林檎のような赤い頬。
彼女は私にそっと笑いかける。
――それ、ひと口もらえない?
「いいよ」
私は注いだ紅茶を飲み干し、あらためて注いだものを差し出された小さな手に渡す。
水筒に付属しているコップだからそんなに大きいものではないのに、彼女が持つとまるでビールジョキのようだ。
彼女はそれを興味深そうに眺めたり、香りをかいだりしてからゆっくりと口をつける。
そして私の方を見上げ、また微笑む。
少女の顔に浮かぶその笑みは大人の女性のもので、その不思議なバランスにドキリと心臓が跳ねた。
この子は……、
――甘くておいしいね。
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