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「パ・イ・ナ・ツ・プ・ル!」
夕暮れの中、活発そうな少年はそう言いながら階段を登る。
「あーあ、負けちゃった。」
同級生と思しき少女は、階段の下でグーを出したまま寂しそうに俯く。
「そりゃ、いつもグーかパーしか出さないからだよ。」
呆れたような少年の言葉に、少女は「だって」と言った後、
「そう簡単に出すものじゃないでしょ、チョコレートは。」
と小さく呟き、くるりと回って少年に背中のランドセルを向けた。
幼い少年は首を傾げて、階段下の乙女を不思議そうに眺めていた。
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