2人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうおっしゃると思って今日は持ってきました」
田神はスーツのポケットに手を入れて、手のひらサイズの機器を取り出した。
形は直方体でメタリックに輝いていた。テレビカメラに向いた面にはレンズが埋め込まれていた。
「思っていたより軽いですね。これだったらつけてても気にならないかも知れません」
丸山は機器を受け取り、しげしげと眺めた。
「ええ、装着していることをあまり感じないように設計しました。自分の手足を想像して下さい。ああ、手足がついてるな、って普段考えませんよね。歩いたり、箸を持ったりする時に意識する程度でしょう。それを目指しました。どうです、装着してみませんか」
「えっ、いいんですか。では、失礼して……」
丸山は機器を顔の近くに持ってきて、動きを止めた。
「これ、どうやって耳につけるんですか?引っかけるような物が何もないですけど」
最初のコメントを投稿しよう!