第1章

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「側面にボタンがあると思います。耳の少し上に持ち上げてボタンを押して下さい」 「はあ、分かりました」 丸山は戸惑いの表情を浮かべた後、機器を耳の上に近づけ、ボタンを押した。 モーターが動くような音がして、機器から棒状の部品が飛び出した。その部品は丸山の耳の裏を通って一周し、カチッと音がした時には完全に耳に固定されていた。 「中にしまってあるとは……、ちょっと想像してませんでした。」 丸山は機器を耳から外そうと引っ張った。 「お、すごい。強く引っ張っても取れませんね。でも締め付けられている感じはないです。不思議だなぁ」 「驚きはたくさんあった方が良いでしょう?では今度は上面にあるボタンを長押ししてください」 丸山が言われた通りの操作をした。程なくして携帯のホーム画面が彼の目の前に浮かび上がった。 「おぉ」丸山は感嘆の声を上げた。それが映像ということは分かるが、アイコンや文字ははっきりと見える。
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