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「10時になりました。只今より開店です」
姿が見えないが拡声器を通して声が聞こえてきた。
「開店したみたいだな」
徐々に列が動き出した。先頭の方で歓喜の声が上がり、人々が店内へ吸い込まれていく。
「危ないですから押さないで下さい」
拡声器を持った店員の姿が見えた。ぎゅうぎゅう詰めの店内に無理矢理入ろうとする人を必死に制止している。この店で働いていたとしても今日は絶対休むな、と貴文は考えた。
数十分後、二人はようやく店に入ることが出来た。
「これで売り切れてたら、発狂するかも」
疲れた表情で千佳が言った。
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