魔法のチョコ

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魔法のチョコ

 一体、ナニモンだ?いきなりかけてきて、こっちが返事しようとしてる間に切りやがった。  声は人間ぽかった。  ニンテンドーDSのボイスチェンジャーって面白いよね?ヤクザみたいな声から、オカマみたいな声まで変幻自在だ。  イタ電だったら非通知にするのが常識だ。  自分の番号教えないとイケないって法律はない。  ナンバーをワザワザ通知する?  なるほど!登録してないんだ!  向こうはワタシの名前、《北川涼子》で登録してある。ワタシはズボラだから、そんなに親密じゃない人間は登録しない主義なんだ。  アキハバラの通り魔みたいな奴なんだろうか?  それともどこかの国のスパイだったりして? 「原田くん」  昼食は白石温麺を食べた。ウーメンって呼ぶんだね?ホラー映画でそんなのがあったよね? 「オーメンだろ?そりゃ」  隣の席のオッサンが唐突に言ったのでビックリした。ナニモンだ!?オッサン!! 「ハハハッ」 「笑ってごまかすなよ?北川涼子さん、市松チョコ食べた俺にいいわけは通じないぜ?」  そーいえば聞いたことがある。  心を覗ける魔法のチョコがあることを。  恐くなって逃げるように店を出た。  観光船に乗り込み塩竃を目指す。ガラララってエンジン音が腹に響く。  海風が眠気を誘う。  カモメが曇り空を舞う。エサをやると頭上を掠めた。ちょっぴり恐い。(>_<)  船内でレディーボーゲンを買って食べた。 「ソフトクリームはないの?」  店のオバチャンに尋ねた。 「発電が出来ないから作れないんだ、ゴメンね?」  そーなんだ?お嬢様のアタイには分からないや。  パパは市松の重役なんだ。コネもイロイロ大変だよ。毘沙門島や仁王島など、ユニークな形の孤島を縫うように疾走する。  沖から見る工場街は迫力があった。  海上でパワーショベルみたいな機械が動いている。ガンダムみたいだ。    遊覧船から降りて桟橋を歩いていると、チューリップハットをかぶった頭のおかしそうな男がこっちを見てニタニタ笑っている。 「なっ、なんなの?」  まさか!?原田くんの放った刺客!? 「君、市松製菓の人だよね?」 「何か恨みでもあるの?」 「北四番丁駅に行ってみるといい」  汽笛が鳴り響いた。
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