あぶないラブストーリー

1/1
前へ
/12ページ
次へ

あぶないラブストーリー

 6月に入ってジメジメとした日々が続いている。  原田くんにこれといった動きは見られなかった。  危険人物だとしても恋心はおさまらなかった。  むしろ、彼がドンドン好きになっていった。  あぶない刑事が好きなワタシからしたら、原田くんみたいなタイプは大好物だった。  三枝瞳からもらった秘密兵器を使いたいのだが、なかなか勇気が出なかった。  第1週の金曜日、今日は工場研修だった。  海外から輸入されたカカオ豆を《選別》する。  悪い豆やゴミを除去し、よい豆を選ぶ。  さらにカカオ豆を砕き、皮を取り除きカカオニブを造る。これが《分離》と呼ばれる工程だ。  《焙妙》カカオニブを炒り、熱を加えると苦味が弱まる。カカオ豆の独特の薫りが生まれる。  数種類のカカオニブをブレンドし《配合》する。  《磨砕》カカオニブを細かくすり潰し、カカオマスにする。  カカオマスにココアバターや砂糖、ミルクを混ぜて《混合》する。  5段ローラーにかけてなめらかにする。《微粒化》と呼ばれる。  休憩のチャイムが鳴り響く。  食堂でNHK《サラメシ》を見ながらお手製の弁当を食べた。本日のメニューは鶏そぼろだ。  原田くんが少し離れた席にいる。  七瀬雪美って同期の女子とくっちゃべってる。  あの女か!?ワタシから原田くんを奪うために、あんな怪電話をしたんだ! 「ぐぬぬ…………(# ゜Д゜)」  5段ローラーでグチャグチャにしてやりたい!  休憩時間はあっとゆー間に終わった。 《精錬》コンチェって機械を使って練り上げる。  この工程にかなりの時間がかかる。  原料が均一化されチョコレートらしくなっていく。空には一番星がキラリ☆☆☆ 《調温》チョコの温度を調節し、ココアバターを安定した結晶にする。  ベルトコンベアーで運ばれるチョコを型に《充填》して振動を与えて気泡を除く。  市松製菓ではここで特殊なクスリを加える。  これにより《透視》や《瞬間移動》が可能になる。 《冷却》冷却ベルトに乗せて、冷やして固める。  型からチョコを剥がす《型抜き》と《検査》をして、アルミ箔で《包装》しケースに箱詰めする。  品質を安定させるために湿度を調整した倉庫の中で《熟成》させる。  こうしてチョコレートは完成するのだ。  原田くんのパソコンに秘密兵器を仕掛けた。 《今夜遊ぼう?(^w^) U・N》      
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加