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「嗚呼……首をしめるように苦い味ね。きっと是清さんが呼んでいたのね」
止めどない嬉しさに、おいおい声をあげて泣いた。
千代が涙に暮れる光景を、裕一と祐子が並んで見詰めていた。
お似合いの2人である。ブックカースが繋いだ縁だ。
「歴史に名は残らなくても、人は本に言葉を遺すことができるのね」
千尋は声をきらめかせながら言うと、アナテマがしみじみと口ずさむ。
『不可解なり。じゃがそれが人間なのかもしれんな』
千尋が抱えた本の呪いが、宙に解けて果樹園に散った。
──星降古書店ブックカースとチョコの本 終。
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