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「ちょっと、ソレイユと話をしたいので出掛けます」
綾は冴木夫妻にそう言って、玄関を出た。
「「行ってらっしゃい」」
二人はそれ以上は何も言わず、送り出してくれた。
綾は僕を車に乗せると、何も言わず、車を走らせた。
綾の運転でも僕は車に酔うことはなかった。
着いた場所は…誰もいない海だった。
「…ソレイユ、ここなら誰もいない。思っていること言ってごらん」
綾はエンジンを切って言った。
「え?」
「ここなら、誰にも遠慮せずに心の中、吐き出せる。冴木夫妻にもマリィにも言えないモヤモヤ、吐き出しちゃえば。私にも聞かれたくなければ、車から出るよ」
綾は僕の答えを聞かずに、車から出ようとしたので、
「待って!僕だけにしないで」
とっさにそう言った。
僕は誰かに聞いて欲しかったのだ。
綾は頷いて、出るのをやめた。
僕の思っていたこと全てを綾にぶつけた。
それでも綾は嫌な顔1つせずに、話を最後まで聞いてくれた。
僕は他と違うことやずっと寂しかったこと。
今も家族といるのに時々、孤独を感じていること。
みんなと同じものが食べたいことなど、誰かが聞けば、たわいのないことだけど、僕にとってはとてもそれがストレスだった。
ストレスというのも、つい最近知った。
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