8人が本棚に入れています
本棚に追加
綾は最後に僕を優しく抱き締めた。
フワッと綾の匂いがした。
「よく言えたね、ソレイユ。溜め込むといけないよ。いつでも付き合うからさ」
「…だって、忙しいそうだし。いつも」
綾は笑う。
「うふふ、そんな事ないよ」
「…桜木さんにだって会うでしょ?」
桜木さん──桜木 隼人は綾の恋人で凄く背が大きい人だけど、僕を綾の家族だと認めてくれている。いい意味、変わっている人だ。
僕はちょっと拗ねた真似をして言うと、少し寂しそうな表情になった。
「桜木さんとは、会ってないよ。忙しい人だから。メールは毎日だけど、電話はたまにだし。でも、私はソレイユが寂しいって言ったら、そっちのけで来たいけど…。ソレイユは友達だけど、家族だし。それが離れていてもね」
「…じゃあ、もし、桜木さんと家族になったら?」
少し意地悪で言ったけど、もちろん本心ではない。僕だって、大好きな綾には幸せになってもらいたいから。
けれど、綾は即答した。
「それでも、だよ」
「…え?」
「…それでも、ソレイユに会いに行く。…ソレイユは気づいてないけどね、私にとってマリィもソレイユも家族だよ。血は繋がってないけどね」
最初のコメントを投稿しよう!