僕の宝物

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綾は最後に僕を優しく抱き締めた。 フワッと綾の匂いがした。 「よく言えたね、ソレイユ。溜め込むといけないよ。いつでも付き合うからさ」 「…だって、忙しいそうだし。いつも」 綾は笑う。 「うふふ、そんな事ないよ」 「…桜木さんにだって会うでしょ?」 桜木さん──桜木 隼人は綾の恋人で凄く背が大きい人だけど、僕を綾の家族だと認めてくれている。いい意味、変わっている人だ。 僕はちょっと拗ねた真似をして言うと、少し寂しそうな表情になった。 「桜木さんとは、会ってないよ。忙しい人だから。メールは毎日だけど、電話はたまにだし。でも、私はソレイユが寂しいって言ったら、そっちのけで来たいけど…。ソレイユは友達だけど、家族だし。それが離れていてもね」 「…じゃあ、もし、桜木さんと家族になったら?」 少し意地悪で言ったけど、もちろん本心ではない。僕だって、大好きな綾には幸せになってもらいたいから。 けれど、綾は即答した。 「それでも、だよ」 「…え?」 「…それでも、ソレイユに会いに行く。…ソレイユは気づいてないけどね、私にとってマリィもソレイユも家族だよ。血は繋がってないけどね」
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