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綾は続けて言った。
「…私の場合は贅沢な悩みでね。
紫堂家では愛情いっぱいもらったけど、やはり孤独だった。容姿は違うし、小さい頃から預けられた子供だと親族に言われてたから。大きくなったら、早く家族を持ちたいって思ってた。うふふ、何でだろうね」
それは初めて聞いた綾の心の一部だった。
だから、僕の気持ちも気づいたのか…。
「…私よりマリィの方が孤独が強いから時々、吐き出させているのよ。ソレイユには心配かけたくなくて、言わないみたいだけど」
そっか、マリィはどこにいても1人だった。
デュラン家に家族として迎えられる以前の異世界でも、デュラン家にいた時もいつも寂しそうだった。
変わったのは、綾がデュラン家にやって来てからだった。
「さあ、マリィや冴木さん達が心配してるね。帰ろうっか」
綾は明るくそう言って車のエンジンをかけた。
「綾…」
「ん?」
「ありがとう、聞いてくれて」
そう言うと、綾はにっこりと微笑んだ。
「こちらこそ、ありがとう。ソレイユがいてくれて良かった」
「えへへっ」
「うふふ…」
帰りの車の中はいつもより楽しくお喋りした。
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