釣りから帰ると

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そんな事を考えていると、あっという間に家に着いた。 匠は車をバックで、きちんと真っ直ぐに止め、エンジンを止めた。 …凄い、真っ直ぐだ。 匠はどんな状況でも、運転は上手い。 僕の体はとても小さいから、運転が下手な人だと、 きっと酔う。 でも、匠の車に乗っても1度も、車酔いをしたことがない。それって上手なんだよね?きっと。 匠は釣り道具を片付けてから、僕の方を見て、 「おいで、中に入るよ」 と言った。 僕は素直に匠の肩に乗る。 飛ぶのは得意だけど、歩くのは苦手なんだ。 だから、移動はいつも匠の肩に乗って移動する。 「「ただいまー」」 匠が玄関を開けると、ふぁーっと甘い匂いがした。 「お帰り~」 薫と薫に抱っこされている莉愛がキッチンから玄関にやって来た。 「おきゃ~り~」 その後ろで、マリィと綾も顔を出して、 「「お帰りなさい、お邪魔してます」」 と声をハモらせて言った。 「マリィさんと綾さん、いらっしゃい」 匠は笑って言った。 「この匂い、何?」 僕が訊ねると、マリィが教えてくれた。 「お菓子のチョコレートの匂いよ。みんなで手作りチョコを作っていたの」 チョコレート…さっきまで思いを馳せていたものだ。
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