自分の殻をブリゼ

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「でも、マドカ。僕がテレビの画面越しに、このハートを鷲掴みにされたのは君の踊りだったんだよ」 ドロフェイが自分の胸に手を当てて、そっと目を瞑った。 確かにドロフェイは、舞花先生のところで見た発表会のDVDに映っていた子を探していると言っていた。 ”素敵な踊りを踊る女の子”。確かそう言っていた。 でもそれが私だったなんて、夢にも思わなかったから。 「君の強みは、喜怒哀楽を体で表現するマイムだ。人魚姫の姉妹の役、すごく良かったよ。俺、ちょっと泣いちゃったもん」 あ、小さく声を上げた。心当たりがあった。 中学三年生の時のグランドバレエの発表会で『人魚姫』をした時、偶然にも私がメインキャストである人魚姫の五人の姉のひとりに選ばれた。 当時他の生徒に比べると拳ひとつぶんくらいは背が高かったから、今となっては身長で選ばれのだと分かる。 当時は選ばれたことがただ純粋に嬉しくて、毎晩遅くまで自主練していたっけ。 ドロフェイはきっとその時のDVDを見たんだ。 「マドカの強みを生かした、マドカだけのバレエを俺に見せて。俺を惚れさせるようなバレエを、眠りから覚めたお姫様ならきっと踊れるはずだよ」
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