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「俺よりも自分のことを信じないでどうする? マドカならできるよ。まあ、ローザのプリンシパルがここまで言ってるんだから、ちょっとは自信持ちなよ~」
けらけらと笑ったドロフェイは私の頭をポンポンと撫でると、また階段を登り始めた。
遠ざかって行く背中を見つめる。
確かにローザのプリンシパル、世界のドロフェイが言うんだからそうなのかもしれない、と自惚れた考えが少しだけ浮上した。
マイムを生かしたバレエ、それが私の強み。
「あ、勘違いしないでねマドカ。テクニックの面では、課題が山積みだよ」
リビングルームからドロフェイの間延びした声が聞こえてきて、がくりと肩を落とした。
「・・・分かってるもん!」
すこし頬を緩ませながら階段を上った。
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