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ジャージに着替え家の外に出ると、洒落たランニングウェアを着たドロフェイが軽く屈伸運動をしている所だった。
「おはよう、いい朝だね!」
「・・・おはようございます」
「ん? 疲れてるね、マドカ。夜更かしでもしたの?」
誰のせいよ、と呟きかけたがぐっと飲み込む。
引きつった笑みで何でもないと首を振って見せると、「そうか、なら良い!」とドロフェイは機嫌よく笑った。
「それにしても、どうしてまたランニング?」
「マドカを見てて思ったんだけど、マドカって全然体力ないよね! ナマケモノみたいにのろのろなんだもん、持久力付けないとね。それに、そんなジャガイモに大根をさしたような体じゃローザンヌには出れないよ。衣装が映えない! 自覚はあるよね?」
「う・・・あります」
胸を押さえながら答える。
「良かった! なかったらお仕置きしてたよ~。それに旗揚げ公演までに痩せてもらわないと、俺パ・ド・ドゥでマドカのことリフトしてあげられないよ? だから、ダイエット!」
「ぐうの音もでません・・・」
「事実だからね!」
もう泣きたい、とがっくり肩を落とす。
きっと泣く暇さえ、ドロフェイは与えてくれないのだろうけど。
ほら準備運動しなよ、と促され、ばれないように小さくため息をこぼした。
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