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彼女から目を背けて、夕焼け色の街に目を落とした。
ビルとビルの隙間から吹く少し冷えた風がゆっくりと、体の熱を奪ってく。
ひんやりとした錆びた手すりに身を預けて、ぼーっとしていると声が響いた。
「貴方はなんでこんなところにいるの?」
再び彼女に目を向けると、彼女が僕のすぐ後ろに立っていた。
「は?なんでって、お前こそなんでここにいるんだ?」
今までに無かった事態に、混乱が脳みそを大きく揺らす。
何度瞬きをしてみても、何度目を擦ってみても、確かに目の前に彼女がいる。
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