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誰かきたのか?
声の正体を確かめるために振り返ると、僕のいる位置とは反対側の手すりを乗り越えて、今にも落ちようとしている女の人がそこにいた。
「まっ......!!!」
手を伸ばし制止の声を出すまもなく、その人の背ふ中は吸い込まれ見えなくなった。
慌てて女の人がいた辺りへ駆け寄り、手すりから身を乗り出して下の様子を確認し言葉を失った。
「は......え.........」
恐る恐る、振り返る。
そこには何食わぬ顔で佇む女の人がいた。
彼女は先ほどと同じようにぽつりと何かをつぶやいて、僕をすり抜けるとその先へ身を投げ捨てた。
そしてまた目の前に現れる。
彼女はいったい、何度無意味な行動を繰り返してるのだろうか。
コンクリートの上にはなにもなかった。
血も肉片も何一つ落ちていなかった。
彼女は遠に死んでいる。なのに、未だ飛び降り続けている。
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