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(神は死んだ、私は消滅したいのだ)
ある日、母が私にこう言った。
「人間は素晴らしい生き物なのよ。人間に生まれてこれてよかったね」と。
…うるさいな、と私は思った。
私と貴女は永遠に分かり合えないし、分かり合う必要もないでしょうけど。お願いだから、私に対して偽善を振りかざすのはやめてよ。
目障りなの。貴女にとっての私は「いい子」に違いないんでしょうね。
全部私が悪いんです。こうなるように仕向けたのは、私自身なのだから。
猛り狂う日差しの中、私は神を殺した。
それは必然のような事象であったし、そうしなければならなかった。
価値は無価値に転じ、私は価値の意義を見失った。天賦された才は一つ残らず灼熱の太陽に吸い取られて消えていった。
いい子であることの意味が、私は分からなくなってしまった。
「神が存在しないとは言っていないじゃない」
誰に向けるでもなく、私は言葉を囁く。
私が言いたいのは、本当に簡単なことなのよ。
人間が生まれた理由なんて皆目なくて、私達が今ここに存在するのは唯の偶然に過ぎない。優位に立っているつもりの人間は、本当は何よりも劣っているということ。
私はもう、我慢ができない。
ヒエラルキーの上位に立っているつもりになっている哀れな人間のことも、私自信がその人間だということも。
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