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だから私は、
…私はね、神を殺して私も殺すの。
自分が自分でなくなる前に、怖気付かない前に、縋っているものを全部取っ払って消えてしまおうと思うの。
「勉強の調子はどうかしら?このまま行けば、いい学校に入れるものね。本当にいい子ね」
母が能面のような笑みを顔に貼り付けて私に言葉を与えた。
ー頑張らない貴女は必要ない。頑張らないのなら、貴女のことを嫌いになるわー
そんな、そんな本音が聞こえてくるかのような笑みだった。
私頑張ったよ?嫌われないように、いつもいつも頑張ってたよ?
頑張りはいつしか「当たり前」に姿を変え、私の本当は彼方に姿を消した。
いつもそうだった。母の期待に応えることだけが、私の全てだった。
「いい子って、何?」
これは最終通告だ。自分への、そして世界への。
神はもういない。時代は変わった。
朝日に照らされて煌めくナイフだけが、今の私の全てだ。
「貴女にとっての神はもういない。私にとっての神ももういない。…もう、頑張れないよ」
さようなら、と呟いて私は目を閉じた。
私にとっての神を、この手で殺す為に。
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