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「死ななくちゃ、…早く、…死なないと、」
重い質量を心に課す、その希死念慮さえなければ。
僕は死にたいなんて思ってない。こんな無価値の存在は消えなければいけないと思う気持ちが、いつまでたっても僕を苦しめるだけで。
今日はどこを傷つけようかな。どうやったら、普通になれるのかな。
ポタリ。ポタリ。ポタポタと。薔薇の如く生の色を宿した鮮血が指の間を這って床に一雫滴り落ちた。
あれは一体いつのことだっただろうか。もう思い出せない程遠い遠い過去のことだ。
数えきれないくらい沢山の錠剤を口に含み、それを一気に流し込んだ。逆流するそれを無理やり体内に押し込むと、僕は鋭利なナイフを喉元に突き刺した。
ああ、でもね。不思議なことにね。
それでも僕は消えなかったんだ。消えなきゃいけないのに、周りに迷惑しかかけることの出来ない不用品なのに、僕はまだここにいるんだよ。
「…ほんと、いやになる」
目を閉じると、僕は叶うことのない素晴らしい未来に思いを馳せながら意識を手放した。
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