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現在MSグループの代表取締役社長を務める間宮俊輔は、宗之助の甥、即ち圭一朗の亡くなった父親の従弟にあたる男だ。
元財務相官僚でエリートコースをまっしぐらに走り続けていたが、宗之助の死で急きょMSグループを引き継ぐことになった。
エリート官僚と聞くと鼻持ちならない人物を想像するが、物静かで穏やかな性格の好人物で、権力にもさほど執着しないタイプだった。
かねてから宗之助に「自分に何かあった時には後を頼む」と言われてきたらしい。だが、まさか自分が巨大組織の長を詰める羽目になるとは、俊輔自身も夢にも思ってもいなかったと告白した。
もちろん、その気があれば圭一朗にトップの座を譲る覚悟はあるというが、当の圭一朗はMSグループの経営には全く興味がないし、その気もない。
それを知ってか知らずか、俊輔は決して圭一朗を敵対視することはなかった。それどころか常に圭一朗の身を案じ、村松夫妻に日々の状況を報告させているほどだ。
その俊輔に間宮総合病院の内部事情について相談してみようかと思い立った。
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