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自室で監視カメラを見つめながら、ひとりの男が笑いをこらえていた。
「そんな単純な言葉をパスワードにすると思うかね、ミス・ウェヴォラヴィ」
男がくつくつ笑うと、持っていたグラスのなかで、赤ワインが煌めきながら揺れた。
「まあ、きみはよくやったほうだよ。確かに△△国きっての優秀なエージェントだ。だが、少々頭が固いようだな」
モニターのなかではウェヴォラヴィが、狂ったように「のりたまご」と打ち込み続けている。
男はとうとう声を上げて笑った。
「パスワードは[のりたまご]ではない、[のりたま[こ]]なのだよ!」
そんなことなど露知らず、核ミサイル発射を阻止するため、ウェヴォラヴィはひたすら「のりたまご」と入力し続けたのである。
[End]
*おまけ*
ウェヴォ = 海苔
ラヴィ = たまご
という意味の、スペイン語ですのん。
この発音で正しいのかは、わかりませんのん。
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