遺書

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遺書

僕はもう疲れました。 オトン、オカン、ごめん。 42年間ありがとう。 先立つ不幸をお許し下さい。 弘志、オトンとオカンのことは任せたぞ。あんまり心配かけるなよ。                              西川貴志    **************************** そして僕は、一応まだ恋人である秋子に最後のLineを打った。   おまえと過ごした3年   色々あったけどそれなりに   楽しかったよ。ありがとう。   幸せになってくれ。 靴を揃え、両手をフェンスにかけたその時 もう一つやり残したことを思い出した。 一応最後に もう10年以上の腐れ縁である女友達・朝田栞にもLineを打った。   朝田、いろいろ世話になったな。   事情は省くが   僕は旅に出ることにする。   しばらく連絡できないけど   心配すんなよ(・∀・) …朝田にはこれぐらいでいいだろう。 2月15日 奇しくも今日は、僕の誕生日前日だった。 42歳最後の夜 突風が吹き荒れる5階建ての団地の屋上は、地上よりも遥かに風が強かった。 僕のトレードマークである大事なメガネがふっ飛ばされそうになった。 早くしないと僕…凍えて死んじゃうじゃないか。 気を取り直して再びフェンスに手をかけたその時 スマホが振動していた。 今しがたLineを送ったばかりの、朝田からの電話だった。
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