最悪な目覚め

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「ふは、お前本当大変そうだな。毎日毎日よく耐えてるよお疲れ様」 「うっせ。」 社食で窓際の席を選んで座り、オムライスを頬張る。 にやにやと笑いながら喧嘩を売ってくるこいつは、同僚の如月和樹だ。 入社した時からの付き合いで、気の置けない存在。 昼食はこいつと摂るのが習慣だった。 ラーメンを啜る、目の前の見飽きた顔を一瞥する。 人のことを大変だなとか馬鹿にしてくるが、和樹は和樹でモテる。 ふわふわの茶髪に端正なルックス、身長も高くてスタイルもいいから社内ではちょっとした有名人だ。 仕事中に嫌でも聞こえてくる女子たちの雑談の中で、こいつの名前が上がることも珍しくない。 「なに、そんなに俺イケメン?」 顔を見ていたことを何を勘違いしたのか、思わずムカつくようなドヤ顔をしてくる。 中身はこんなんなのに、見た目がいいからって調子のんなコラ。 「ふっざけんな」 悪態をつくと、慣れた感じで笑い飛ばされた。
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