最悪な目覚め

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そんな俺の様子に気づいた和樹が口角を上げて目配せをしてくる。 それに苦い顔だけを返してフィルターにもう一度口を付けた。 「総取っ替えってさ、お前は可能性ねーの?」 横目で和樹の顔を見る。 すると、彼はくしゃっと笑って、まさか、と言った。 「俺は社畜の立場がいいんだよ。プライベートも大事にしたいしね。」 「それ、後者が本音だろ。」 突っ込むと、くつくつと声を立てずに笑った。 和樹はこう見えて多趣味だ。 といっても超インドア派で、休日は家に引きこもってゲームやら漫画を読んでいるのが常。 まぁハッキリ言って、ヲタクというやつだ。 社内に知られるとイメージが変わりそうで俺は他言はしないが、本人は至って隠しているつもりはないらしい。 俺も漫画とかアニメは、さほど詳しくはないが好きだから、オススメの漫画とかがあればたまに貸してもらっている。 「あ、ヒカル。」 喫煙スペースを出て、各々デスクに戻ろうと脚を向けた時、和樹が俺を引き留めた。 「ん」 「お前今日予定ある?」 「行く。」 内容も理由も聞かずに即答した俺に、和樹はどこか嬉しそうに笑った。 「分かった。仕事終わったらあの店に集合な。」 「ん」 俺はもう一度短い返事をして、今度こそデスクへと足を向けた。
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