最悪な目覚め

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シャワーを終えると、パンツを履いただけの格好で、乱暴にタオルでがしがしと髪の水分を取りながらリビングに戻る。 時間の確認がてらテレビを付けてみると、朝にぴったりの爽やかな顔をした男性アナウンサーが今日も変わらない笑顔をこちらに向けていた。 寝室に向かい、クローゼットを開いて新しいシャツを羽織る。 慣れ親しんだ柔軟剤の香りに少しだけ安心感を覚えながら、ダークブラウンのスーツを選び、ジャケットはリビングのソファに無造作に投げた。 タオルを首にかけたままキッチンに行き、コーヒーメーカーが美味いブレンドを煎れてくれている間に、トースターにパンを入れる。 フライパンにさっと薄く油をひいてハムを2枚程敷くと、その上に卵を落とした。 基本的に朝は食べない。 だが、珍しく早起きした上に、自宅でシャワーを浴びてやっと安心したらしい体は、空腹を感じていた。 時間もあるし、せっかくなら優雅な朝を楽しんでから出社しよう。 そう、優雅な… 優…雅な? 淹れたての黒々とした液体の入ったマグカップを手に取り、それを一口啜ってから小さく息をつき、天井を仰いだ。 苦くて芳醇な香りが鼻を抜けるのを感じながら目をゆっくり閉じる。 「ゴミ箱…確認しとくんだったな…」 囁く声よりも小さなその言葉は、トースターからパンが飛び出るチンッという陽気な音にかき消された。
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