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硬い外皮はマサルの剣では傷ひとつも付けられないが、そうして突く事で自分がここにいるぞとアピールしているのだった。その場所を遅れた動作で触手が攻撃する。
それを回避するマサル。
大きさを逆手に取った作戦だった。
だが、
不意に、邪夢が横に回転する。
ぐるりと周囲を確認して、マサルの前で【眼】を止める。
「ヤバイっ!」
見つかった!その瞬間に足が竦む。
【眼】に対して背中を向け、振り向きながら両手で剣を振った。
狙ったわけではなく、背後まで来ているハズの触手を払うためだった。
キン、と金属音がして両手から虚無感を覚えた。
剣が空中を舞い、足元にカランと乾いた音をさせて転がる。
目の前に迫る黒い触手が一本、鋭く光ってマサルの顔面に向かって伸びた。
「うわぁあ!!」
死を覚悟する刹那、マサルの眼前で閃光が走る。
ギィィンッ
青白い一本の閃光が、触手の細長い剣先に突き刺さり、その軌道を変えた。
「マサル!そこから離れろ!!」
青帽子のジンは眼を見開いて叫んだ。
「オードリーは僕が助ける!!」
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