第三夜 長い夜(後編)

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 硬い外皮はマサルの剣では傷ひとつも付けられないが、そうして突く事で自分がここにいるぞとアピールしているのだった。その場所を遅れた動作で触手が攻撃する。  それを回避するマサル。  大きさを逆手に取った作戦だった。  だが、  不意に、邪夢が横に回転する。  ぐるりと周囲を確認して、マサルの前で【眼】を止める。 「ヤバイっ!」  見つかった!その瞬間に足が竦む。 【眼】に対して背中を向け、振り向きながら両手で剣を振った。  狙ったわけではなく、背後まで来ているハズの触手を払うためだった。  キン、と金属音がして両手から虚無感を覚えた。  剣が空中を舞い、足元にカランと乾いた音をさせて転がる。  目の前に迫る黒い触手が一本、鋭く光ってマサルの顔面に向かって伸びた。 「うわぁあ!!」  死を覚悟する刹那、マサルの眼前で閃光が走る。  ギィィンッ  青白い一本の閃光が、触手の細長い剣先に突き刺さり、その軌道を変えた。 「マサル!そこから離れろ!!」  青帽子のジンは眼を見開いて叫んだ。 「オードリーは僕が助ける!!」
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