第4話 リビドーの園

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「シャーッ」 大蛇は倫子に向かって威嚇するように 赤黒い舌と歯を剥き出しにする。 男の頭には、両耳の少し上に太くて長い 山羊のような黒い角が生え、 その瞳は蛍光ブルーに光っていた。 「倫子さん、お待ちしていましたよ。 さぁリビドーの海へ共に参りましょう!」 と獣のような毛の覆われた右手を差し出す。 「凌駕様、嫌です。次は私にイレて下さい。 もう、ココが疼いて…」 凌駕を取り巻いていた女の一人が自らの秘所に左手を入れつつ 彼の右足に縋りつく。 「困った子だ」 彼は微笑むととぐろを巻いた大蛇が女の秘所目がけて蠢く。 「あーーっ」 女は大きく足を広げ、 自分の乳房を両手で掴むと絶叫した。 倫子は吐き気を催し、 入り口へ向かおうとする。 「おや?倫子さん、あなたが望んだ事ですよね?」 光輝の声がし、診察室のドアが開く。 「ヒーーッ」 倫子は声にならない悲鳴を上げる。 光輝は最早、山羊の上半身、 狼の下半身の悪魔の姿になっていた。 そして悪魔のそそり立つ巨大なシンボルを、 二人の女が必死に舐めている。 後ろに後ずさる倫子の後ろに、 光輝…いや、悪魔は瞬間移動すると 倫子の耳元で 「お前がしている事は、ただ単に誰にでも靡く 頭と尻が軽い馬鹿男を奪ったつもりになってるだけだ!」 と囁いた。 「いやーーーーーーーっ」 倫子は一目散に逃げ出した。 院内に明かりが着くと幻覚は解ける。 いつもの清潔で優雅な院内だ。 キッチリ白衣を着こんだスタッフと光輝。 そして紺色のスーツで決めた凌駕がいる。 「これで、少しは凝りましたかねぇ?」 光輝は凌駕に苦笑しつつ問いかける。 「まぁ…一時的なものでしょうねぇ」 と凌駕も苦笑しつつ答えた。 倫子の去った後には、 マゼンタ色の包装紙と金のリボンが包んだ 手作りチョコレートが残されていた…。 凌駕は右手をそれに翳すと、 手の平からインディゴブルーの光が放たれる。 そしてそれは消滅した。 ~媚薬Ⅲへ続く~
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