第2話 愛のハンター倫子

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(それにしても、 このイケメンは一華とどういう関係よ? どうやらここのクリニックの医者みたいだけど…。 まさか、 凌駕さんにセフレの紹介を頼んでた、とか?) 倫子の妄想は果てしなく続く…。 「今度、 心療内科医を主人公にした小説を書きたくて。 そしたら凌駕さんに光輝さんの事教えて頂いて…」 一華は経緯を説明する。 「私も、光輝さんにお会いしたいと思っていたので。 私もあなたにお会いできる良い機会だ、とお連れしたんです」 と凌駕が補足した。 「そうでしたか。 私も凌駕さんのCafeにずっと行ってみたいと思ってました」 と光輝は笑みを浮かべる。 「一華さん、いつでもいらしてくださいね。 予めご連絡頂ければ、いつでも大丈夫ですよ」 と一華に優しい眼差しを向けた。 「有難う、光輝さん。 あ!そういえば… 凌駕さんも光輝さんも会おうと思いつつ 約10年も経過してた…て言ってたけど、 人間に換算したらどのくらいの期間になるの?」 一華は素朴な疑問を口にする。 「…そうですねぇ。三か月から半年くらい、でしょうか?」 凌駕は答え、光輝と頷きあった。 「へぇ?!意外に短いのね」 一華は軽く驚きの声を上げた。 「…しかし、木陰で私達を覗き見しつつ、 下品極まりない妄想をしているメスがいますが… あれが、 凌駕さんが事前にテレパシーで伝えて下さった…?」 光輝は苦笑しつつ問いかける。 「ええ、そうです。 今回はあなたが適任かと。 勿論、私もフォローしますが」 凌駕も答えながら苦笑する。 「あの…お手数おかけします」 一華は二人に頭を下げた。 「いいえ、あなたが謝る事ではありませんよ。 私達にお任せ下さい」 光輝は爽やかに微笑み、一華を見つめた。 そして光輝と凌駕は目を合わせ、 冷たい笑みを浮かべると頷きあった。 (倫子、可哀想に…) 一華は倫子の行く末に同情した。 「ミラージュ!」 テーブルの端でウトウトしていた白猫の名を呼んだ。 ミラージュはすぐにシャキッと正座する。 そして光輝の目をしっかりと見つめると、 「ニャン」 と短く鳴いてテーブルからヒラリと舞い降りた。 そして倫子の隠れている木陰を目指し、 音を立てずに走る。 そして軽やかに飛びかかった。 …まるで獲物を仕留めるかのように…。
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