第2話 愛のハンター倫子

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第2話 愛のハンター倫子

「大変お待たせしました」 「ニャー」 柔らかく、そして良く通る声と共に、 猫の鳴き声がした。 一華と凌駕は声の主を振り返り、 笑顔を見せる。 「とんでもない。 こちらこそ、お仕事中の貴重な昼休みにすみません」 と凌駕は答えた。 「初めまして。 星影光輝(ほしかげこうき)と申します。 わざわざお越し頂き、有難うございます」 白衣を羽織ったその男は、 白いテーブルと椅子の方へと二人を誘導し、 腰掛けるように促す。 彼の左足には、白猫が嬉しそうに客人を見つめている。 「神谷凌駕(かみやりょうが)と申します」 「弓倉一華(ゆみくらいちか)と申します」 それぞれの名刺を交換しつつ、 和やかに自己紹介から始まった。 「ニャーン」 ヒラリとテーブルに舞った白猫は、 嬉しそうに一華の腕に頭をすりつけ、 続いて凌駕の腕に頭をすりつけた。 金色の鈴つき首輪がよく似合っている。 「この子はmirage(ミラージュ)」 光輝そう言って微笑んだ。 「可愛い!右目はクリアイエローグリーン、 左目はクリアブルーのオッドアイなのね!」 一華は嬉しそうに声を上げる。 「うちの黒猫Amazing(アメージング) に合わせてみたい」 と凌駕はミラージュの頭を撫でた。 「それは是非!Cafeにいるのですか?」 光輝は凌駕の話に興味を示した。 ミラージュはテーブルの端に移動し、 寛ぐようにして伏せる。 一同は、 穏やかに楽しく会話が弾んでいく。 (ちょっと…何?あのイケメンは…) その頃、 相変わらず木陰から覗き込む倫子は 今までとタイプが違う美形の持ち主 星影光輝に視線は釘づけだった。 …深い緑色の艶やかな髪は金色のメッシュが入った ミディアムショート。 そして全体的にシャギーを入れて軽くしてある。 その瞳は澄んだ琥珀色で、 陽の光を受けて柔らかく輝いている。 深緑の長いまつ毛、整った眉。 色黒でも色白でもない程良い肌色の肌。 筋肉質だが細身の長身。 端麗な顔立ち。 彼もまた、 人間離れした知的で洗練された美形だった。 「一華の周りはなんでイケメンしか居ないのよ!?」 悔しさのあまり、 倫子は思わず声をあげてしまい、 慌てて両手で口を抑えた。 (…あの人も、アレも大きくて固そうだわ。 凌駕さんは情熱的な感じだけど、 この人はテクニシャン、て感じ) 倫子はまたも妄想が暴走する。
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