第3話 倫子特製?媚薬のチョコレート

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第3話 倫子特製?媚薬のチョコレート

「ムッフッフッフ…」 倫子は嬉しくて思わず忍び笑いをする。 あれから、 光輝に連れられてクリニックで額の治療を受けた。 また3日後に来い、との事。 「治療費は一切いらない、て言うんだもの。 これは…お礼に、と是非とも私の手作りチョコレートを あげないとねー。バレンタインも近いし♪」 倫子は上機嫌でスキップをして歩く。 「あら、また私を振り返ってく…。 美しいってホント罪ね」 倫子は再び優越感に浸った。 道行く人は、 六本木のお洒落な通りで 額に大きな絆創膏を貼り、 一人事をブツブツ言いながらニヤニヤ笑いつつ スキップして歩く女が奇妙に映り、 思わす振り返ってしまう…。 倫子はふととあるショップで足を止め、 手作りチョコレートの材料を物色し始めた。 「相手の心を自分の思い通りにするお呪い(おまじない)… 結構あるのねぇ…」 倫子はその夜、 手作りチョコレートに入れて相手の心を自分に虜にする呪いを インターネットで検索していた。 「…それにしても、 あそこのクリニックは美女スタッフしか居ないのね。 まぁ、私の美しさには負けるけど…。 あそこのスタッフ、全員光輝さんを狙ってると見たわ。 …これは、落とし甲斐があるわね♪ あそこのスタッフよりも私が一番魅力的である事 を証明して見せるわ!」 倫子の情熱に火がついた。 夫は帰って来ない。 最近、子供達を連れてよく外泊している。 子供達は外泊先から学校に行っているようだ。 倫子からしたら 食事の用意も子供達も毎朝起こさなくて済むし、 と良い事づくめである。 よって、 思う存分チョコレート作りに専念できる訳だ。 チョコレートは明後日の夜に作る事にした。 3日後にクリニックに行く際、光輝に渡すのだ。 (ええ、では3日後に。宜しくお願いします) 光輝は魔界の自室でソファで寛ぎつつ、 凌駕にテレパシーで打ち合わせをしていた。 「ニャーアニャー(あの女からのチョコレート、 食べたらダメよ)」 ミラージュは光輝の膝の上からそう言って見上げた。 「まさか!食べたりしないよ。 …受け取っただけで食あたりしそうだ」 げんなりしながら光輝は答えた。そして 「だけど、少しお灸を据えないとね。 子供が可哀想だ」 とミラージュの頭を撫でた。
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