2話「ミズキの魔法」

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「ライアービジュアル使うのも、こなれてきたしな……よし、ここは……」  魔法を使った方が早い。使おう。瑞輝は腹に決めて、魔法を唱え始める。 「勇猛なる戦士よ、仮初めの休息により、再びその精神と肉体を動かさん……ナームリカバー!」  光属性の魔法なら、ある程度は使いこなせる。効果も十分だろう。 「よぉし……」  魔法を唱え終わった瑞輝は全力で走り出した。普通ならすぐに息が切れるのだが、ナームリカバーを受けた瑞輝は、全く疲れを感じない。しかし、疲れが溜まらない魔法ではない。あくまで感じないだけなので、魔法が切れたらどっと疲れが出てしまうだろう。 「でもまあ……この調子なら大丈夫だよね」  この調子で全力疾走し続ければ、学校までは、そう時間はかからない。むしろいつもよりも早く着いてしまうだろう。  なので、学校の近くまで行ったら、適当な所で体を休めつつ、ライアービジュアルを掛け直せばいい。  教室にもゆっくりと向かえば、その間には体は相当、休まるだろう。 「とにかく、急がなくちゃ!」 「お? あの女、スゲーな」  駿一(しゅんいち)は、とんでもない速度で横を通り過ぎる女の子を見て驚いた。 「相当飛ばしてるぜ、あれは」  駿一は、女の子が自分の横を通り過ぎてから、遠ざかって姿が見えなくなるまでずっと見ていたが、その間、ずっと同じペースで走っていた。 「あのペースで学校まで行きそうだな……何かのトレーニングか?」  陸上部の奴だろうか。しかし、陸上部であのピンク色の髪の色は怒られないのだろうか。  駿一がそんな事を考えていると、すうっと悠(はるか)が現れて、俺に話しかけた。 「うーん……?」  悠は幽霊だ。  酷い霊媒体質である駿一は、常人とは比べものにならない頻度で霊に絡まれてしまう。こんな風に、幼馴染の幽霊に取り憑かれる事だってある。  もっとも、悠の場合、今までの霊の中でも一番長く取り憑いている、特殊な霊だが……。 「ん……悠、どうした?」 「どっかで見たことあるような……」 「そりゃ、同じ学校なんだし、見たことぐらいあるだろ」 「いや、そーゆーんじゃなくて……」  悠は更に考え込んでいる様子だ。いつも碌に考えもせずに、脊椎反射で声に出している悠にしては、珍しく悩んでいる。
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