1話「呪詛連続殺人事件のはじまり」

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「ええ。首を跳ねられてるから出血もかなりの量になってるわ。死に際に何か書いた事は間違いないんでしょうけど……大部分はそれに掻き消されてしまってる」 「と言うことは、他にもメッセージを残そうとした人が居た可能性はあるってことですか」 「そうだけど……書いたのも本人の血で塗り潰したのも本人の血じゃ、判別できないわ。梓は霊気とか、読めるんでしょ? 何か手掛かりは掴めないかしら」 「難しいですね。霊体は、余程の強い気持ちがない限りは、現世に残ることもないですから……ところで、本当に殺人事件という線は無いんですか?」 「いえ、無くもないわ。ただ、可能性は低いって。まあ……言い換えれば証拠が見つからないって事なんだけど……。鎌のようなもので切られたってのとか、微妙にだけど、殺人の周期のようなものが読み取れるってのはあるんだけどね。どちらも核心に至る証拠が全然出ないらしいの。警察ではお手上げな事件らしくて、あたしの所に舞い込んできたんだけどね、あたしが考えるに、心霊とか、呪術の類いとか……怪異系の事件かと思ってさ」 「うーん……少なくとも、不特定多数の人がやられてるわけですよね。となると、呪いの類という線は薄くなるですけど……かといって、心霊事件にしても、霊の目的が読めないですし……」 「この間みたいに、ひとりかくれんぼとかの心霊遊びのせいってことはないの?」  梓は暫し考えた。こっくりさんや、ひとりかくれんぼに代表される心霊遊びは、確かに、一歩間違うと危険な霊を降霊させたり、誰かが取り憑かれてしまったりする危険があって、実際、事故も起きている。
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