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「なるほど……だから、普通の犯罪じゃなく、人間以外が起こした事だと……」
「そ。正確に言えば、人間以外か、それに準ずる……人間離れした力を持つ人間ね。だから、役割分担きっちりして捜査しようかと思って」
「ほーほー」
「警察は物理的に、梓は心霊的に、あたしはまあ……その他とか、その間とかってところね」
「結局、いつもの役割分担じゃないですか」
「そう言われると、そうかも」
「まあ、そこはいいでしょう。うーんー……てことは、まずは私も現場に行く必要がありますね」
「それがいいかもね。写真や資料だけじゃ分からない事とかもあるだろうし」
「じゃ……お昼を食べたら行ってみましょうか。ね、丿卜(へつうら)さん」
「御意だ梓。心霊が関係せぬのなら、某が役立てるかわ分からぬがな」
丿卜が答えた。勿論、杏香には聞こえていない。丿卜は、梓に憑いた背後霊だからだ。
「あ、丿卜さん、近くに居るんだ」
「はい。時々ふらっとどこかに行くですけど、基本的に背後霊なので」
「なるほどねー、こんにちは、丿卜さん」
杏香がきょろきょろしながら丿卜を呼ぶ。丿卜が見えないので、周り全体に対して顔を向けているのだろう。
ここらへんの、いい加減だか律儀だか分からないところが、いかにも杏香っぽい。
「む、こんにちはで御座る。相も変わらず達者なようで、何よりに御座る」
「む、こんにちはで御座る。相も変わらず達者なようで、何よりに御座る。ですって」
梓がそのまま杏香に伝える。声もちょっと低くして似せてみた。
「相変わらずもののふねー。毎度毎度、好奇心そそられるわ。……さて、じゃ、あたしはこれで。あたしはあたして、色々と調べたいこともあるしね」
「そうですか、じゃ、私達も準備しましょうかね」
「うむ。そうしよう」
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