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和香子が出勤の準備をする気配に気がついて、健人が目を覚ます。
「んー……。和香子、おはよー」
と、一応朝の挨拶をしたが、まだ起き出す気配はない。健人は今日もこのまま、気ままな一日を過ごすのだろう。
「……健人?」
和香子が声をかけると、健人はヘーゼルの瞳を細め、優しげな微笑みを向けてくれる。
「私ね……。これ以上健人がダメになっていくの、見ていたくないんだ……。だから、もう、こんな生活は終わりにしよう」
和香子は思い切って、ずっと考えていたことを、とうとう健人へ切り出した。
「終わりにしよう…って、どういうこと?」
健人の表情から、微笑みが消える。
「もう、私たち別れよう……」
その決定的な言葉を告げると、和香子は健人の表情を確かめることさえせず、背中を向けた。
『またね』という言葉で曖昧にされてしまう前に。その場しのぎのキスで、ごまかされる前に。
足早に玄関に向かうと、振り返ることなくマンションを飛び出した。
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