後悔と希望

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「今、全県模試の事務局から連絡があったけど、我が校の英語の得点の一部が入力されてないらしい!」 進路指導主任が血相変えて、三年部へと駆け込んできた。進路を計るために重要な模試であることもあって、三年部にも緊張が走る。データを見直してみたら、和香子が担当するクラスの得点がすっぽり抜け落ちていた。 「…え。私、入力しました」 和香子が戸惑ったような声をあげたので、さらに調べてみると、どうやら和香子は別の考査のシートに入力してしまっていたようだった。 「申し訳ありませんっ!!」 和香子は進路主任や迷惑をかけた教員たちに謝ってまわり、早急にもう一度点数のデータを送り直す手続きをして、疲れ果てて職員室の席へ戻ってきた。 「大変だったね。…でも、しっかり者の石井さんらしくないね。このところ、体調でも悪いの?」 そう言って、古庄は気遣ってくれたが、和香子はただ首を横に振って答えるだけだった。 普段の自分だったら考えられない失敗。 この失敗は、辛うじて保っていた和香子の心の均衡を、一気に揺るがしてしまった。
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