高嶺のチョコレート

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「なっ、おいやめろって」 「暴れないの。綺麗な髪なんだから手入れもきちんとしないとね」 「……っ」 歳の離れた弟がいたらこんな感じなのかな。 髪を乾かし終わるとイリヤはその場に寝転んだ。その姿は気まぐれな猫のよう。 「……お前さ」 「お前じゃない。佐奈さん」 「サナ」 まあ、良しとする。 「何で、初対面の俺にこんなに良くしてくれるんだよ」 「だってほっとけないし?」 私はゴディバのチョコに手を伸ばす。 「どうぞ。自分へのご褒美で買ったゴディバだけど」 イリヤは少し躊躇って、チョコを口に入れた。 「美味しい?」 無言で頷く姿は文句なしに可愛い。
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