高嶺のチョコレート

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「今年のバレンタインデーは一人じゃなかった。ありがと」 「……何だよそれ」 「日本では何故か女性が好きな男性にチョコを贈るイベントになっててねー。ここ数年一人だったから虚しい思いをしていたの」 「サナ、恋人いないのか?」 「いないよ」 「ふーん」 あ、心底興味なさそう。 「あと、お腹も空いてるかと思っておにぎり作ったからどうぞ」 「おにぎり……昔食べた事ある」 「小さい頃、日本に住んでたんだもんね」 イリヤはパクリとおにぎりを食べた。 「!」 パッと表情が明るくなる。 「っ、美味しい」 「なら良かったー」 ポンポンと頭を撫でる。 「!おい、子ども扱いすんなって」 「はいはい。私もお茶を頂きますかねー」 形だけのアフタヌーンティーは思った以上に楽しかった。
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