*一杯目*

4/6
前へ
/26ページ
次へ
「かわいい名前ですね。本名ですか?」 「こいつ名前こう書くんだよクマって読めるだろ?」史哉は持っていた紙に紅真とペンで書いて説明した。 「うふふ、仲良しなんですね。」 「フミヤ先輩とは高校時代からお世話になってて、この店だす時もお金出してくれて。」 「代わりに水曜日は貸切にしてもらう約束でな。」 「なるほど、だから今日お休みだったんですね。あれ、先輩ってことは…。」 「26です。」 「30くらいかと思ってました。」 「俺は老けて見られるんだよなぁ。…先輩笑いすぎですよ!!」 史哉はカウンターに突っ伏して笑っている。 「あ、いやその悪い意味でじゃなくて…。すみません。」 「いいんですよ、言われ慣れてるんで。」 「悪い意味じゃないって便利な言葉だよなー。」 「わたし、一言多いんですよね。だから、こんな誕生日に…。」 「誕生日!めでたいな!!これ食いなよ。」 さっき作ってもらったトマトのサラダの皿を女の子の方に寄せた。 「じゃあ俺からも一杯奢りで。」紅真はカシスオレンジを女の子の前に置いた。 「ありがとうございます。」
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加