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こんなにも寂しいと感じるようになったのは、いつからだっただろうか? 毎日の通学で使う電車の駅の『1』と書かれたホームに立ちながら真田 飛香(さなだ あすか)は考えていた。 先日、幼い頃から一緒に過ごした飼い猫のミミが寿命の為命を落としてから 心にぽっかりと穴が開いてしまったように感じる。 「ミミまで死んじゃうなんて…。」 ポツリと呟いた飛香の声に耳を傾ける者なんて、このホームにはいない。 だが、反射的に辺りを見渡し、誰にも聞かれていないことを確認すると、飛香はマフラーを口元まで引き上げた。 先日亡くなったミミの前に、飛香は犬も亡くしていた。 今日からちょうど3ヶ月前 飛香は愛犬のユメを亡くしていた。 最近、やっとユメの死から立ち直れた飛香にとって二度目の家族の死は相当なダメージだった。 あの子たちは、幸せだったのだろうか。 答えのない問いを自分自身に投げかける。 飛香は返ってくるはずもない答えを待ち続けた。
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