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数十分後に電車が来た。
『ホームに電車が参ります。危ないですので黄色の線の内側にお立ちください。』
ホームに響き渡ったアナウンスの後に電車が来た。
飛香は、いつもより多くなった乗客たちと一緒に電車に乗り込んだ。
「やばいね、今日人多すぎ。」
「仕方ないじゃん。でもさ、最近ここの電車よく止まるよね。」
「確かに!そういえば、1年くらい前に人身事故が続いた時期なかった?」
「あったあった!怖かったね…。」
どこからか女の子の声がする。
チラリと視線を向けると、飛香の通う私立高校の近くにある公立高校の女子生徒2人組が楽しそうにお喋りをしていた。
「んんっ!」
どこからか、咳払いをする声が聞こえた。
朝から電車が遅れたせいで憂鬱になっている人たちにとっては、彼女たちの声は明るすぎたのかもしれない。
女子生徒は肩をすぼめて今度はコソコソと話し始めた。
確かに、ここ最近この電車はよく止まっている気がする。
それに、先程女子生徒が話していた不思議な連続人身事故の件も飛香は覚えていた。
今からちょうど1年前のことだったと思う。
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