未熟な恋の、真っ赤な実

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腐れ縁だけど、もちろん、18年間飽きずに一緒にいたわけじゃない。思春期の、中1中2らへんは、お互い周りからからかわれるのがイヤで学校では一言も口を聞かなかった。 でも、家に帰ればそれも一時休憩。なんせ、家族ぐるみで仲が良いのだ。しかたない。わたしが部活を終えて帰宅すると、あいつは空手を終えたそのままの格好でうちの食卓にいたりした。 逆もたまーにあったし。 そのうち、学校で話さないことのほうが面倒なことに気づいて意地を張るのはやめた。 わたしたちは確かに、他に仲良しな異性がいたわけじゃないけど、べつにわたしたちの間に甘いものもなかったから。 幼なじみに恋? そんなねぇ、近くに恋が転がってるわけないじゃないか。 みんな、苦労して恋してるなあと思う。少なくともわたしの周りはみんなそう。 わたしはまだ恋を知らないけど、きっとわたしも、ちょっとは苦労して恋愛をするんだと思う。そんな恋愛の相手が、幼なじみのバカなわけないじゃないか。簡単で安直すぎる。そんなことになったらまるでわたしがバカみたいだ。
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