板チョコ――勝負のゆくえ

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吉井沢は、イケメンでチャラくて女好きで有名で、面倒くさそうだから絶対関わりたくないと思ってた。 でも、だったらなんで、あたしはあの時勝負を受けたんだろう。 「峰藤鈴に、バレンタインを好きになってもらいたかったんだよ……」 「え…?」 「…お前、バレンタイン嫌いだろ?すげー最高なイベントなのに、もったいねぇよ」 ぶっきらぼうに 少しずつポツリと、吉井沢は言葉を発してく。 だからか ポツリポツリと、あたしの中に入ってくる。 「男にはいいイベントかもしれないけど…あたしは、女だし……」 「知ってるよ。そうやってお前が一番女とか男とかにこだわってる。バレンタインは、自分の気持ち次第で女も男も楽しめんだよ」 わかんない。 「それは、あげる相手がいる人でしょ…。あたしにはいないし」 わかんない。 「だから。そのために俺がいるんだろ」 意味わかんないよ、本当に。 「俺と関わってホレない女はいねーよ。それが俺が好きな女なら尚更。俺は好きになった女は絶対オトすからな」 ……なんだよ、それ。じゃああたしは、まんまと吉井沢のワナにはまったわけ? 「…うぅぅ、うざぁい…」 「はー?俺さいこーじゃん!うざぁいってなんだよ!」 「だって!…っ、男みたいって言ったくせに」 あんたが言ったんだよ。あたしが一番つらいこと。
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