0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ばーか。好きなヤツに素直にかわいいなんて言えるかよ」
「…い、今言った…!」
「言ってねーよ」
「言ったぁ…」
なんだ
なんだ、吉井沢、あたしのこと好きなんだ。かわいいって思ってるんだ。
吉井沢にそう思われてるってだけで、うれしい。
「…入学式のときにお前、俺の定期拾ってくれたじゃん。そのとき俺、自分よりかっこいーヤツ初めて見たって思って。それが女だって知って、最初は悔しかったんだけどさ、お前目立つからよく見てたんだよ。そしたら、実はすげぇ女らしいところがあって…好きになった」
「…っ吉、」
「チョコ、くれよ。お前のが一番ほしい」
ねぇ吉井沢、あたし、バレンタインがあってよかったって初めて思ったよ。
「鈴、俺にくれよ。
毎年ずっと俺だけに」
ありがとう吉井沢。
バレンタインの幸せを、あたしに教えてくれて。
「…」
「板チョコ…俺、初めて人から貰ったわ」
「っ仕方ないじゃん!」
「どのチョコよりも甘そー」
フッと笑って、あたしをときめかせる。
「これで47個目。俺の勝ち!」
「ず、ずっる!」
「鈴、かわいーな」
顔を、ラッピングよりピンクにさせて
あたしを甘くさせる
バレンタイン、あたしは包装されてないそのままの恋の味を、初めて知りました。
最初のコメントを投稿しよう!